みんな大好き『東京ばな奈』。
義母の大好物です。
だから、これを見ると、少し胸がざわつきます。
子どもが1人入りそうな、バナナ柄の大きな紙袋に、
20個くらい買って、
夫の実家に帰省をしていた時代の、緊張感を思い出すからでしょう。
コロナ禍で、そんな大掛かりな帰省ができなくなりましたが、
結婚以来、親せきの多い夫の実家に帰る時には、
お土産を買うのも、ひと苦労でした。
というのも、なかなか義母の喜ぶものが買えなかったから。
文化の違いに気づけなかったのです。
それは、東京と地方の文化というよりも、
ローカルとローカルの感覚の違いと言ってよいと思います。
例えば、私が北海道で買ってきてほしいものは?
と聞かれたら、
『白い恋人』
一択なんです。
京都は?
『おたべ』
一択。
仙台は?
『萩の月』
福島は?
『ままどおる』
長野は?
『雷鳥の里』
・・・・。
こんな風に、個人的な嗜好がありますよね。
それを例えば地元の人が聞いたら、
『それはない。もっと美味しい物がたくさんあるのに、そんなのは古い』
というかもしれません。
そういう意味での、
義母の一択は、
『東京ばな奈』でした。
これ一択に決まるまでには、まあ、紆余曲折ありましたよ。
私が『白い恋人』だけ買ってきてくれたら満足で、
他のものはいらないように、
義母もそうなのだ、ということに気づくまでに20年くらいかかりました。
新婚の頃から、
高島屋に出向き、一流店の菓子折りを買いました。
虎屋。
源吉兆庵。
両口屋是清。
神戸風月堂。
高砂屋。
鳩サブレ・・・。
しかしこれらは失敗でした。
何故かわかります?
小さい。
包み紙に記載の会社が、東京ではない。
『これ、岡山で買ったの?』
まだ源吉兆庵の住所記載が岡山になっていた頃で、
義母は、不服そうに言ったものでした。
義母が言いたいことがわかるまでに、何十年もかかるなんて、
私も相当バカですけど。
ある日、東京駅でいい加減に買った
『東京ばな奈』や『人形焼き』に感涙の義母を見て、
私、今まで何をやっていたのか、と。
え、こんなのでいいの?と逆に驚きました。
ちなみに『銀座コージーコーナー』
『銀座千疋屋』
なんかも好評です。
ああ、そうか、という感じでした。
ローカル感と旅人感覚って、違うんですよね。
デパートの紙袋の方が丁寧かと、勘違いをしていました。
『銀座』とか『東京』とかの冠が大事なんです。
あと、絶対に、
『大きいこと』
虎屋の羊羹なんか、もってのほかでした。
ただ、この『東京ばな奈』
くせ者なんですよ。
賞味期限が短い。
箱とか包装紙に高級感がないのに高い。
大きな箱はさらに高い。
売っている店があまりない。(いつも高速のパーキングに買いに行く)
美味しいんですけど、東京の人は買ってまで食べませんよねぇ。
ま、他府県へのお土産なんて、そんなものなのでしょうが。