四月から社会人となり、都内で一人暮らしをしている娘が、
四か月ぶりに帰省し、一泊していきました。
娘のマンションを訪ねたり、
家族で食事をしたことはあったのですが、
娘がこの家に戻ってきたのは、初めてでした。
何百回とやっていた、
電車が着く時間に、娘を駅まで迎えに行くことも、
とても懐かしいことに感じました。
娘の帰省がうれしくて、
普段より良い食材を買い、
好物の桃を買い、
角上魚類で刺身を買い、
リクエストのハンバーグを作り、
新しい布団カバーや枕カバーを買い、
スリッパを買い、
トイレのカフェカーテンを替え、
食器棚をきれいにし、
床にワックスをかけました。
ふっ、と私は義母の顔が浮かびました。
『ああ、私たちは、夫の実家に帰省することが大変だと思っていて、
受け入れる側のことを考えたことはなかった。
お母さんも、こんな風に、していてくれていたんだなー』
しみじみと、感謝しました。
帰省するたびに、
顔が映るほどに磨かれたステンレスのキッチンで、
義母は待っていてくれました。
そして、娘が帰ってきた我が家は、
大輪の花が咲いたようでした。
若い女の子がペチャクチャしゃべるだけで、
もうそこには、音楽が流れ、
赤やピンクの花がひとつ、ふたつ、と咲きみだれていくようでした。
良い香りがし、柔らかい妖精が飛び回るよう・・・。
楽しい!!
普段は夫と飲むのは、主に第三のビールだけど、
その日は恵比寿ビール、オリオンビール、黒ラベルなどを、
たくさん冷やしておきました。
娘は宮古島でも飲んだオリオンビールを大変気に入り、
小さなシャンパングラスで飲んでいました。
家族でビールを飲み、娘の仕事の話を聴き、
夢のような時間を過ごしました。
たったの一泊しかできないから、
真夜中まで騒ぐはずが・・・、
張り切りすぎて、夫も私も飲みすぎて、
眠くなってしまいました。
娘は怒っていました。
『なんなの、せっかくかえってきたのに、
二人とも、全然楽しそうじゃないね!!』
違うんですよ・・・。
飲みすぎたんですよ・・・。
酔ったんですよ・・・。
最高に幸せなんですよ、娘が四か月ぶりに帰省してくれた夜だもの・・・。
なんていう夢見心地を破ったのが、娘の兄である、息子のひとこと。
『マンションは?』
これは、つまり、翻訳したらこういうこと。
『ねぇ、今、妹が帰ってきているのは何なの?
俺も何回も訪れていて、
俺もとても気に入っている、
あのマンションは、
どうなったわけ?
あのマンション生活が終わったわけじゃないよね?
これって、お泊りってことだよね?』
それなのに、娘はことさらに語気を強めて、
誘導尋問です。
『なによ、お兄ちゃん、マンションに帰ってほしいってこと?』
『・・・そう』
『あっそ!・・・・・』
そしてまたしても誘導尋問。
『あたしのこと、嫌いなんだね』
『・・・うん』
なんなのこのきょうだい・・・。
息子は息子なりのやり方で、
短い時間の中で、
妹との『セッション』を楽しんでいたのでしょう・・・。
そして、翌日、娘をマンションに送り、
車から降りるという段になって、
私は、また娘の不在を一から悲しみ直すという、
痛みに襲われたのでした。
ずっと会っていないと大丈夫なのに、
娘がマンションに独りで帰るとなると、
胸がキューンとなるのでした。
もちろんそんなの顔には出しませんよ。
ただ、またそこで、義母の顔が浮かびました。
義母は、私たちが東京に帰るとき、
見送ってくれた空港や駅で、
涙を見せていましたのでね・・・。
ああ、こういうことか・・・。
またそこで、義母の気持ちがわかったのでした。
パステル画みたいに鮮やかだった、
娘がいた空間は、
また、地味な三人家族の空間に戻りました。
当たり前に家族で過ごせる、当たり前の時間の尊さを、
改めて、知りました。
次の娘の帰省を楽しみに、また家をきれいにしておこうと思います。
四か月ぶりに帰省し、一泊していきました。
娘のマンションを訪ねたり、
家族で食事をしたことはあったのですが、
娘がこの家に戻ってきたのは、初めてでした。
何百回とやっていた、
電車が着く時間に、娘を駅まで迎えに行くことも、
とても懐かしいことに感じました。
娘の帰省がうれしくて、
普段より良い食材を買い、
好物の桃を買い、
角上魚類で刺身を買い、
リクエストのハンバーグを作り、
新しい布団カバーや枕カバーを買い、
スリッパを買い、
トイレのカフェカーテンを替え、
食器棚をきれいにし、
床にワックスをかけました。
ふっ、と私は義母の顔が浮かびました。
『ああ、私たちは、夫の実家に帰省することが大変だと思っていて、
受け入れる側のことを考えたことはなかった。
お母さんも、こんな風に、していてくれていたんだなー』
しみじみと、感謝しました。
帰省するたびに、
顔が映るほどに磨かれたステンレスのキッチンで、
義母は待っていてくれました。
そして、娘が帰ってきた我が家は、
大輪の花が咲いたようでした。
若い女の子がペチャクチャしゃべるだけで、
もうそこには、音楽が流れ、
赤やピンクの花がひとつ、ふたつ、と咲きみだれていくようでした。
良い香りがし、柔らかい妖精が飛び回るよう・・・。
楽しい!!
普段は夫と飲むのは、主に第三のビールだけど、
その日は恵比寿ビール、オリオンビール、黒ラベルなどを、
たくさん冷やしておきました。
娘は宮古島でも飲んだオリオンビールを大変気に入り、
小さなシャンパングラスで飲んでいました。
家族でビールを飲み、娘の仕事の話を聴き、
夢のような時間を過ごしました。
たったの一泊しかできないから、
真夜中まで騒ぐはずが・・・、
張り切りすぎて、夫も私も飲みすぎて、
眠くなってしまいました。
娘は怒っていました。
『なんなの、せっかくかえってきたのに、
二人とも、全然楽しそうじゃないね!!』
違うんですよ・・・。
飲みすぎたんですよ・・・。
酔ったんですよ・・・。
最高に幸せなんですよ、娘が四か月ぶりに帰省してくれた夜だもの・・・。
なんていう夢見心地を破ったのが、娘の兄である、息子のひとこと。
『マンションは?』
これは、つまり、翻訳したらこういうこと。
『ねぇ、今、妹が帰ってきているのは何なの?
俺も何回も訪れていて、
俺もとても気に入っている、
あのマンションは、
どうなったわけ?
あのマンション生活が終わったわけじゃないよね?
これって、お泊りってことだよね?』
それなのに、娘はことさらに語気を強めて、
誘導尋問です。
『なによ、お兄ちゃん、マンションに帰ってほしいってこと?』
『・・・そう』
『あっそ!・・・・・』
そしてまたしても誘導尋問。
『あたしのこと、嫌いなんだね』
『・・・うん』
なんなのこのきょうだい・・・。
息子は息子なりのやり方で、
短い時間の中で、
妹との『セッション』を楽しんでいたのでしょう・・・。
そして、翌日、娘をマンションに送り、
車から降りるという段になって、
私は、また娘の不在を一から悲しみ直すという、
痛みに襲われたのでした。
ずっと会っていないと大丈夫なのに、
娘がマンションに独りで帰るとなると、
胸がキューンとなるのでした。
もちろんそんなの顔には出しませんよ。
ただ、またそこで、義母の顔が浮かびました。
義母は、私たちが東京に帰るとき、
見送ってくれた空港や駅で、
涙を見せていましたのでね・・・。
ああ、こういうことか・・・。
またそこで、義母の気持ちがわかったのでした。
パステル画みたいに鮮やかだった、
娘がいた空間は、
また、地味な三人家族の空間に戻りました。
当たり前に家族で過ごせる、当たり前の時間の尊さを、
改めて、知りました。
次の娘の帰省を楽しみに、また家をきれいにしておこうと思います。